パソコン初期化の前に確認すること
Windows 11での方法と注意点を解説
2024.02.16(FRI)
2026.10.02(FRI)
パソコンの動作が重い、フリーズが増えた、処分の前にデータを消去したい。そんな時に「初期化」を考える人は少なくありません。しかし、初期化はデータが消えたり、設定が大きく変わったりする、非常に手間のかかる作業でもあります。そのため、本当に初期化が必要なのか、どういった準備が必要なのかを理解してから進めることが大切です。この記事では、Windows11でパソコンを初期化する方法と、事前に確認したい注意点を解説します。
パソコンの初期化は本当に必要?
パソコンの初期化は、不調の改善などに役立つ方法です。ただし、何でも解決できる、万能な対処ではありません。目的によっては、初期化より先に試すことがあります。まずは、どのような場面で初期化を考える必要があるのかを整理しましょう。
トラブル解決なら初期化は最後の手段
初期化はパソコンの不調を解決する手段として知られています。そのため、パソコンの動作が重い、ソフトウエアがよく止まる、起動に時間がかかるといった不調があると、初期化による解消を考えるかもしれません。しかし、こうした症状は初期化しなくても改善することがあります。
例えば、一時的な不具合であれば再起動で解消することがありますし、ソフトウエアの再インストールで解決することも珍しくありません。
ストレージの空き容量が少ない状態が不調の原因になることもあるため、不要ファイルの整理も有効です。初期化は不調解消の効果が期待できるものの、データのバックアップや再設定などの手間がかかります。まずは負担の少ない方法から試し、それでも改善しない時に初期化を検討することが現実的です。
パソコンの処分・譲渡は初期化だけでは不十分
パソコンを処分したり、人に譲ったりする前に初期化をすると安心だと思われがちですが、それだけで十分とは限りません。初期化はWindowsを購入後に近い状態に戻す作業のことで、保存されていたデータを完全に消すわけではないのです。
データが消去されたように見えたとしても、専用の復元ソフトを使うと、過去のデータを復元されてしまうことがあります。仕事の書類、写真、Webブラウザに保存された情報などが残っていると、思わぬ情報漏えいにつながりかねません。
完全消去が必要であれば専用のデータ消去ソフトを使う、信頼できる回収サービスを利用する、といった方法も検討しましょう。パソコンを初期の状態に戻すことと、データを消去することは同じではないので注意が必要です。
パソコン初期化の前に必ずやるべき4つの準備
初期化は実際に行う前の準備が重要です。ちゃんと準備しないまま始めると、必要なファイルが消えたり、初期化後にログインできなくなったりといったトラブルが起こるおそれがあります。作業を始める前に必要な準備を解説します。
重要なデータのバックアップを取る
パソコンを初期化する前に最優先で行いたいのが、重要なデータのバックアップです。写真や動画、書類データだけでなく、デスクトップに置いたファイル、ダウンロードフォルダの中身、Webブラウザのブックマーク等も確認しておきましょう。ふだんはあまり気にならないかもしれませんが、必要なデータがパソコンにだけ保存されていることは少なくありません。
外付けストレージやクラウドストレージなどにデータをコピーし、初期化後にすぐコピーできるようにしておきましょう。また、保存先の容量不足やバックアップ漏れには注意して下さい。
各アカウントのID、パスワードを記録する
初期化後は、Windowsへのサインインだけでなく、メールやクラウドストレージ、各種Webサービスにも再ログインが必要になります。そのため、使っているアカウントのIDとパスワードを事前に確認しておくことが大切です。
特に注意したいのは、ふだんはWebブラウザのパスワードマネージャーで自動的にログインしているため、本人がパスワードを覚えていないケースです。また、Webブラウザに記録されていないIDとパスワードもあるため、漏れがないかよく確認しておきましょう。
再インストールが必要なソフトウエアを確認する
初期化はパソコンを購入時の状態に戻すため、購入後にインストールしたソフトウエアは、初期化後に再インストールを行う必要があります。特に仕事で使うオフィスソフト、セキュリティソフトなどは、すぐに使えないと業務に影響が出るおそれがあります。
そのため、初期化をする前にどのソフトウエアを再インストールする必要があるのか、またどこから入手したのかを調べておくと安心です。プロダクトキーやライセンスの情報まで確認しておくと、初期化後の再インストールをスムーズに進められるでしょう。
ノートパソコンは電源に接続し、時間に余裕がある時に行う
パソコンの状態など環境によっても左右されますが、基本的に初期化は時間のかかる作業です。初期化で更新するデータや保存しているデータの量、選んだ初期化の方法によっては、1時間以上かかることも珍しくありません。
そのため、ノートパソコンでは必ずACアダプターを接続し、途中でバッテリー切れが起こらない状態で進める必要があります。作業中に電源が落ちると、正常に初期化できず、再起動を繰り返したり、Windowsが起動しなくなったりするおそれがあります。
また、どれくらいの時間がかかるのか初期化前に分からないため、外出前や仕事の直前のような慌ただしい時間帯は避けましょう。
Windows 11でパソコンを初期化する方法
Windows11では、設定画面から初期化を行うことが可能です。操作そのものは難しいものではありませんが、いくつかの選択肢が表示されるため、意味を理解していないと期待するような結果にならないおそれがあります。パソコンを初期化する、基本的な方法とポイントを解説します。
設定画面から初期化する方法
Windows11で初期化する時は、スタートメニューの歯車のアイコンをクリックして、まず「設定」を起動します。
設定を起動したら、システム⇒「回復」⇒「このPCをリセットする」の順にクリックして下さい。ウィンドウが表示されたら「個人用ファイルを保持する」または「すべて削除する」を選んでクリックします。
「すべて削除する」を選んだ場合、さらにデータを削除するドライブの選択やドライブのクリーニングなどの選択を求められます。
Windowsの不調を解消するのが目的であれば、Windowsがインストールされているドライブだけ削除を行い、パソコンの譲渡や処分が目的であれば他のドライブのデータも削除しましょう。ドライブのクリーニングを行うと、データの復元がされにくくなる効果があります。
データ削除の選択を終えると、Windowsの再インストール方法から「クラウドからダウンロード」または「ローカル再インストール」を選択し、削除方法、インストール方法を確認して「リセット」をクリックすれば初期化が始まります。
「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」の違い
初期化の設定をしている途中で「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」という2つの選択肢が表示されます。
「個人用ファイルを保持する」はユーザーフォルダ内の個人用データを残しつつ、ソフトウエアやWindowsの設定などは削除し、初期状態に戻すものです。Windowsの不調を解消したい場合に適しています。一方で「すべて削除する」はソフトウエアやWindowsの設定だけでなく、個人用のデータも含めて削除します。パソコンの譲渡や処分であれば、こちらを選択して下さい。
ただし、「個人用ファイルを保持する」を選んでもドキュメントなど特定のフォルダ以外のデータや設定は消えることに注意しましょう。
「クラウドからダウンロード」と「ローカル再インストール」の違い
初期化時に行うWindowsの再インストールの方法は「クラウドからダウンロード」と「ローカル再インストール」から選べます。
「クラウドからダウンロード」は、MicrosoftのサーバーからWindowsのデータをダウンロードしてインストールする方法です。安定したインターネット接続が必要ですが、最新のデータで再インストールできます。
「ローカル再インストール」は、パソコン内にあるデータを使う方法で、インターネットに接続していない環境でも初期化を行えます。初期化後にWindows Updateを行うことで、最新の状態になります。
通信環境が整っているのであれば、最新のデータを反映できる「クラウドからダウンロード」の方がおすすめです。
起動できない場合は回復環境から初期化する
Windowsが正常に起動できない状態でも、回復環境から初期化する方法があります。回復環境とは、Windowsが立ち上がらなくても、修復や復旧するための操作を行える特別な画面です。回復環境はWindowsの起動に2回連続で失敗した、サインインの電源操作からShiftキーを押しながら再起動するといった方法で起動できます。
回復環境が起動したら「トラブルシューティング」の「このPCを初期状態に戻す」をクリックすると初期化を行えます。通常は利用しない方法ですが、いざという時の対処法として覚えておきましょう。
ただし、破損などストレージ自体に問題があると、そもそも初期化を行えないことがあります。
パソコンの初期化で注意すること
初期化は画面の案内に従って進めば完了できますが、思うような結果にならないことがあります。多くのデータが削除された後では対応できないこともあるため、初期化を実行する前に知っておきたい注意点を押さえておきましょう。
初期化すると消えるものと残るものがある
初期化では、選んだ方法によって消えるデータと残るデータが変わります。例えば、「個人用ファイルを保持する」を選んだ場合でも、追加したソフトウエアや個人用ファイル以外に保存したデータは消えてしまうことがあります。そのため、プリンターの設定、Wi-Fiの接続情報、一部のソフトウエアの設定、デスクトップの設定などは、初期化後に設定しなくてはなりません。
一方で、Microsoftアカウントと連携している一部の設定は、初期化後にWindowsにログインすると戻る場合があります。初期化で消えるものと残るものを把握し、後で慌てないように準備をしましょう。
ハードウエアの不具合は初期化で解消しない
初期化で改善できる可能性があるのは、Windowsの設定等の不具合、ソフトウエアの相性問題など、主にOSやソフトウエアの問題です。
SSDやHDDといったストレージの劣化、メモリーの故障、バッテリーの消耗など、ハードウエアに不具合の原因があるトラブルは初期化では解消しません。例えば、異音がする、突然電源が落ちる、充電してもバッテリーがすぐに減る、高温を発するといった症状は、初期化よりも点検や修理を検討する問題です。購入から年数が経ったパソコンは、ソフトウエアだけでなくハードウエアの劣化が進んでいることもあります。
そういった状態では、初期化しても根本原因が残ったままになります。不調の内容を見て、初期化で対応するか、修理や買い替えをするのかまで含めて考えることが大切です。



